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世界の名言集

クレーマーの第三の考えに対しては、私は薄ぼんやりとした考えからではなく、私の主義として反対した。クレーマーは、外相に偉材を求めた───というより、外相には偉材が就任しなければならない、と主張した。外交問題の処理と言う仕事は、政治的資質に対する最大の挑戦であり、天才を要求する、というのがクレーマーの考え方であった。私は当時、ビスマルクの外交上の一大勝利だった1878年ベルリン会議の直後に、時のイギリス首相ディズレーリが次のように評した事実を知らなかった。『ドイツも哀れだな。ビスマルクは年寄りで先が見えている。ドイツはいずれ海兵隊の大尉あたりをあの巨人の後釜に据えるだろうが、どうせ臆病で何も出来ないか、酔っ払って彼と同じことが出来ると思い込むかのどちらかだ。もうすぐ、ドイツは敗れる。』ディズレーリの評言ではないが、歴史を読めば読むほど、天才外相はむしろ災いの種だな、との感を私は深めた。ドゴールですら、リシュリュー同様、ヨーロッパの覇権を握るという夢を追い続けて、フランスをヨーロッパの協商に統合しようとはしなかった。しかもドゴールですら、リシュリュー時代から300年も経っ
ているというのに、フランスの外交政策を自国の資源と自国のニーズに適合させようとはしなかった。オーストリアメッテルニヒの成功で滅び、ドイツはビスマルクの成功で滅びた。なぜか? ディズレーリが予言したように、偉大な外相の後を継ぐのは常に『海兵隊の大尉』か事務長程度の人物だからである。後継者はやがて、その職から退くか、悪くすると虚勢を張るようになる。天才外相は、彼のその飛びぬけた才能は、外部世界にいつまでも消える事のない不信感を植えつけることにもなる。リシュリューメッテルニヒビスマルクに類する外交家は、昔からの原則『外交においては利口であってはならない。純粋、誠実であれ』を常に軽蔑して退ける。この人たちは利口である───だがその結果、策士、誠意に欠ける人物と見られがちである。 --P・F・ドラッカー